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咎狗 |
あおまです!今日は休みなのでもりもり更新!!
とりあえずシリアスssの続きができましたのでうpします〜
例によって長いです; あ、あとオリキャラというか工場長の奥さんが喋ってます…
くちなし
雨のよく降る6月。
先ほどまで晴れていた、と思えば急に雲が幾層にも重なりだして降り出すことも多い。
天気などに元々無頓着なアキラには、今日は降りそうだからと傘を持って出かけたり、折り畳み傘を持ち歩くといった習慣は無かった。だから、ケイスケは雨が降るといつも、嬉々としてアキラの元へ向かった。
傘を届けるという名目で、アキラにためらいも無く会いにいけることが、とてつもなく嬉しかった。
いつしかケイスケは、6月が好きになっていた。
トシマに行く少し前、アキラがBl@sterでLOSTとして名を馳せるようになった頃のこと。
6月のある日、夕方からBl@sterの試合があったので、ケイスケはもちろん見に行くつもりでいた。
けれど、午後5時頃になっていきなり土砂降りの雨が降り出してしまった。
ケイスケは勤めていた工場を仕事が終わってからすぐに飛び出し、小さな傘を差してスコールの中をひた走った。何処かで雨宿りをしているであろうアキラを探して。
ブラスターが行われていたはずの路地の近くを走り回る。靴も、つなぎのズボンもぐちゃぐちゃに濡れたけれど、そんなことは全く気にならないくらいに夢中だった。
降りしきる雨の中、体が冷えていることにも気付かず、がむしゃらに探し続ける。それでもアキラが見つからなくて、ケイスケは途方にくれた。
きっと、何処かで雨がやむのを待っているはずなのだ。
こんな時でもなければ、アキラの役に立てないのに。
そんな卑屈な思考が頭をよぎった瞬間だった。
噎せ返るほどの土くれの匂いの中、生の花のような甘くて瑞々しい香りがした。
その香りに引き寄せられるように、振り返る。
その先には、寂れた公園の壊れかけた東屋に佇むアキラの姿。
傍らには、荒れてしまった植え込みの中でひときわ目立つ、クチナシの白い花。
まぼろしかと思った。
その後のことは、あまりはっきり覚えていない。
迎えに行ったくせに、アキラの分の傘を忘れて、二人でひとつの傘を使ったこと。
不可抗力で近寄った体温が、温かくて、嬉しくて、恥ずかしくて、居た堪れなかったこと。
アキラからクチナシみたいな甘くて良い匂いがして、胸が切なくなったこと。
覚えていることといえば、こんなことくらいだ。
ただただ、傍にいられるのが、たまらなく幸せだった。
それだけでもう、他には何もいらないと思った。
その日から、ケイスケはクチナシの匂いがすると、白い花の姿を探すようになった。
その隣に、アキラがいますようにと、まるで祈るかのように。
甘い香りに引き出された記憶から浮上する。
透明な傘を叩く雨のリズムは先程までと変わらない。無意識に植え込みの側まで近寄っていたようで、いっそう濃い香りが体をつつんだ。
思い出した切ない感情に、立ち尽くす。
どうしようもない恋情が体の中に渦巻いて、喉の奥が少し熱かった。
「ケイスケ君?」
ぼんやりしていた所に突然声をかけられたケイスケは、吃驚して過敏に反応した。
ばっと顔を上げると、買い物袋を持った工場長の奥さんが、赤い傘を差してケイスケを不思議そうに見つめていた。
「どうしたの?こんな所で。…ああ、うちの人に呼ばれたの?」
「いや、違うんです。工場長に呼ばれたわけじゃ…」
「………もしかして、お花、見てたの?」
「え…」
「ふふ、クチナシ。いい香りでしょ」
彼女はにこにこしながらケイスケの近くに寄ってきた。
「去年はあまり花付きがよくなかったんだけど、今年はいっぱい咲いて嬉しいわ」
「…花、お好きなんですね」
「ええ、大好き。お花や植物があると、気持ちが安らぐでしょう」
「…そうですね」
「よかったら何本か持って帰る?すぐ黄色くなってしまうのが難点だけど、いい匂いがするわよ。お部屋に飾ったら?」
「え!?いや、でも悪いです…」
「男だけの部屋に潤いが出ていいじゃない。ちょっと待ってて、花切ばさみ持ってくるわ」
工場長の奥さんはそう言って家に戻り、すぐにハサミを手にして帰ってきた。丁寧にパチン、パチンと花のついた枝を切って、少し雨の水滴をふるい落としてから、新聞紙で小さな花束を作るように包んでくれた。
「はい、できた」
「わぁ…ありがとうございます」
「ふふ、アキラ君にもちゃんと見せてあげてね」
「あ…はい」
アキラにこの花を見せたら、どんな顔をするだろうか。というか、どんな顔をして会えばいいのだろうか。わからない。家のドアを開ける瞬間を想像して、気分が沈む。
気まずそうな顔のケイスケを知ってか知らずか、工場長の奥さんは上機嫌で言葉を続ける。
「ケイスケ君、クチナシの花言葉、知ってる?」
「え…いや」
「洗練、清潔、それから
『私は幸せ者です』 」
「……幸せ、者……」
心に、言葉がすっと落ちた。
ざわついて、ばらばらだった感情が静かにまとまり、凪いでゆく。
ああ、そうか。
自分はいつの間にか欲張りになっていたのかもしれない。
アキラのいる日常に慣れて、幸せに慣れて、欲深く求めていた。
「傍にいられるだけで、幸せ」 この気持ちを忘れることなんてない、
いつかの雨の日に、そう強く思ったはずなのに。
アキラから想われたくて、試すようなことを言って、気まずくなって、
少しでも会いたくないと思ってしまうなんて、馬鹿なんじゃないだろうか。
アキラの顔を思い出して、少し涙が出そうだった。
早く会いたい。いますぐ抱きしめて謝って、それからできればキスしたい。
俺の傍にいてくれてありがとう。
そう伝えたい。
ケイスケは貰った小さな花束をきゅっと強く握った。工場長の奥さんの目をしっかり見据える。
「あの、ありがとうございます!!早く帰ってアキラに見せますね!」
「ふふ、そうね。アキラ君もケイスケ君のこと、きっと待ってるわ。また二人でご飯食べにいらっしゃい。」
「絶対来ます!!ほんとに!ありがとうございましたっ!!」
大きくお辞儀をして、ケイスケは走り出した。肩に掛かる鞄や、風の抵抗を受ける傘がもどかしい。
けれど腕の中の白い花は大事に大事に抱えて、上がる息の中、時折笑みがこぼれる。
跳ね上げる泥水も、鬱陶しい湿気も、何も気にならなかった。
くちなし
甘い香り
白い姿
もう探さなくても、いつも傍で咲いくれている
それを大事にすること
それだけが自分の、唯一の幸せなのだ
「俺は、幸せ者です」
――END――
ケイスケは乙女思考です。そして私はポエマーです死
後々すごく恥ずかしくなることうけあい…(Д`;)最後強引に終わらせた感が…笑
アキラの匂いをケイスケはどんな風に感じてるんでしょうか。生の花みたいな匂いかなぁと想像してみました。個人的にクチナシの匂い大好きです!金木犀も沈丁花もとても好き!家のクチナシがもうすぐ終わってしまうので寂しい。。。
ケイスケとアキラにはいつまでたっても初心を忘れてほしくないです。不安定ながらも二人で困難を乗り越えていってほしい。かたっぽが落ちても、もうかたっぽが引き上げて、支えあいながら生きてほs(5時間ぐらい語れそうなので終了)
ケイスケは当たり前の幸せをちゃんと感謝できる人間だとおもいます。アキラもそうだけど自覚して表現できるかどうかはわからない笑
続きから、まわして頂いてるバトンと拍手御礼です!!拍手のみの方も誠にありがとうございます!!大好きです!
あ、あとリンクを大量追加させていただきました(*´д`*)ハァハァ お母ちゃん、おいら幸せもんだよ…
無断リンク多しです…このチキンめ!
咎狗 | trackback(0) | comment(0) |
あおまです。シリアスが書きたくて仕方なくなることがたまにあるんですが今まさにそれです!
ケイアキシリアスSS↓
くちなしの匂いがする
甘くて、瑞々しくて
この匂いを嗅ぐたび、胸が詰まる
何処かにあの白い花の姿がないかと、瞳が彷徨う
梅雨の湿気た空気に溶け込んで消えてしまいそうな匂いを
自分のものにしたくて、たまらなくなる
濃い緑の葉に映える、白い花、甘い香り
きっとアキラに似ているからだ
くちなし
工場を出ると、小雨が降っていた。梅雨も中頃、降っていない日のほうが珍しいのではないだろうか。
――――サアァァァァと優しい音がして、空も、家も、道路も、植物も、全てが撫でられる様に、しっとりと濡らされていく。色の濃くなったアスファルトには、いくつも水溜りができていた。
ケイスケ達の暮らすこの近辺は、戦争の被害を受けていないので、戦前に建てられた民家や道路が多く残っている。道路などのインフラは劣化しているものも多く、一概に住みやすいとはいえないが、小古い町並みや、緑の残る景観は、馴染みやすく割と気に入っていた。
ケイスケは、持ってきていた傘を静かに開いた。透明のビニール傘に細かい水滴が落ちてくる。ぱらぱらと小気味よい音がするけれど、湿気が凄くてどうにも晴れた気分にはなれない。
鞄が濡れないように、肩を竦めるけれど、小さい傘では、あまり意味がないようだ。ため息をついて、ゆっくりと歩き出す。心持ち、その足取りが重そうなのは見間違いではないだろう。重苦しい気持ちが、天気のせいだけというならどれだけよかっただろうか。
アキラと昨夜、喧嘩をした。きっかけはとても些細なことだったように思う。
ケイスケ達が今働いている工場に来て、丸2年が経った。それぞれの得意な分野で受け持つ部署が分かれ、休みも昔のように全ては重ならなくなった。トシマを出てすぐの頃のように四六時中一緒にはいられなくなったのだ。そこにきて最近、工場が大量の受注を受け、仕事がかつてないほど忙しくなった。
すれ違う生活への苛立ちと、忙しい生活による疲労が、二人の心をすり減らしていく。
そして昨夜、遂にそれが爆発してしまった。いつもであれば絶対につっかからないような、アキラお馴染みの無愛想な言葉を、ケイスケは受け流せなかったのだ。
「この頃なかなか一緒に過ごせないね…」
「仕事なんだからしょうがないだろ」
「うん。…だけど俺、……寂しいよ。アキラは?…なんとも思わない?」
「……………別に」
――――――ため息交じりの「別に」が心に刺さった
「……アキラは、俺のこと好き?」
聞いてはいけない質問だということは、分かっていた。アキラがこの手の質問を嫌っていることも。
けれど、聞かずにはいられなかった。触れ合えない分言葉で確かめたかった。アキラが確かに自ら望んで、自分と生きているということを。
結局その言葉を聞いた瞬間、アキラは無言で居間を出て行った。言った瞬間に自分で予想した、その通りになったというのに、今更傷ついた。
アキラのいる寝室に入れるはずもなく、結局居間で一晩を明かすことになったが、眠れるわけがない。
床が固いとか、予備のタオルケットが薄くて寒いとか、そんなことではなく、眠れなかった。
それはアキラも同じだったのではないだろうか。お互いの息遣いや存在を気にしながら、夜が更け、やがて空が白みだす頃に一人で静かに朝食をとって、出勤にはかなり早い時間に家を出てきた。
今日がアキラの欠勤日でよかったと思う。工場までの気まずい道のりを耐えるには、まだダメージが大きすぎる。
2年も一緒に暮らしているのに、未だにこんな些細なやり取りで気まずくなってしまう。二人の間の絆は、そんなに脆い物なのかと、盲目的に不安になって、そんなことを考える自分にもまた、嫌気がさした。
家に帰りづらい。アキラが欠勤でケイスケが出勤の日は、いつもならすっ飛んで帰るのに、今は、家までの道のりがずっと続けばいいと思っている。現にまだ工場の敷地内から出ていない。
昔と変わらない自分の弱い部分に、ケイスケは顔を歪めた。
トシマを出て、アキラと暮らすために自分なりに強くなろうと頑張ってきたつもりだったし、強くなったと思っていた。
思っていたけれど、アキラのことになるとやっぱり弱い自分が居る。
どうしようもなくアキラが好きだからこそ、仲が不安定になると、心がすぐに折れそうになるのだ。
肌にまとわりつく湿気た空気が、鬱陶しくてたまらない。いっそ傘を差さないで、ずぶ濡れになってしまったほうがいのいかもしれない。そうすればこの泥のような気持ちも綺麗に流されて、素直にアキラに会えるのではないか。
ケイスケがそんなことを考えていると、不意に甘い匂いが微かに漂っているのを感じた。
水分を多く含む大気に溶ける、この匂い。
何故だか急に懐かしくなって、ケイスケは辺りを見回した。
――――どこだろう。
きょろきょろと見回すが、よく分からない。この匂いを、自分は知っている。
懐かしくて、胸が詰まる、この匂いは。
せわしなく動いていたケイスケの視線が、ある点でピタッと止まった。それは工場の建物の横に建つ、それほど大きくない民家の脇、工場長の家の植え込みだった。
木造の古めかしい家を守るように、沢山の植物が植えられている。夏を目前にして、懸命に葉を茂らせる木々たち、素朴で美しい花、その全てが雨に煙る。
その中でつやつやと光る濃い緑の葉と、いくつもの真っ白い花。
甘い香りの正体は、それだった。
――続――
こういう鬱々した話の方が書きやすいのってどうなんだろう…笑
拍手ありがとうございます!全ての原動力になっております!!
あ〜まわして頂いたバトンやりたい〜すっごい嬉しいようvv しかし今時間が無い・゚・(ノД`)・゚・。
次の記事で絶対やります!
では☆
咎狗 | trackback(0) | comment(0) |
あおまです。やっとできましたので、うpします。ベタな上に甘く、ちょっとだけそういう表現が御座います(果てしなくぬるいですが)。嫌な方は回避してください。↓
待てのできない犬 2 ver.K
ケイスケが灰と化したあの日から、3週間が経過していた。
もちろん、この間アキラとはそういった行為に及んでいない。というか、指一本触れていない。触れさせてくれないのだ。
朝、狭い洗面所ですれ違うときも、顔を突き合わせた食卓で醤油を渡しあうときも、工場の誰も居ないロッカーで二人そろって着替えるときも、一緒に布団を敷くときも。ケイスケが偶然を装って触れようとしようものなら極寒の視線で睨みつけて威嚇してくるので、うかつに近寄れない。
最近では不可抗力で近付かざるをえない状況でさえ、警戒して避けてくるようになった。まるで思春期の娘と、避けられている父親のようだ。何度謝ってすがり付いてもアキラは全く許す気配がない。「触るな」というあからさまな態度をとられる度に、ケイスケはノックダウン状態になり、家でも、仕事場でも全く使い物にならなくなってしまう。アキラの冷たい態度にケイスケは燃え尽きて、更に風化して崩れていってしまいそうだった。
しかし、心が寂しさに枯れていても、体は本能に忠実だ。好きな相手と暮らしていて、そして無駄に健康とくれば、色々と湧き上がって来るものがあるのは仕方ない。湧き上がってきたものをぶつけ過ぎていたのは自覚している。アキラの負担を知っていながらも、歯止めが効かなかった自分が悪いのだ。
だから、このアキラの仕打ちも自業自得だと納得できる。だが、そろそろ我慢の限界だ。いくら自分で処理しようとも全く満たされず、むしろ欲が連鎖反応を起こして更にアキラが欲しくて欲しくて仕方がなくなる。
一人ではダメなのだ。そして、一人で突っ走っていた自分も、かなりダメだった。
一人ではなく、ちゃんと二人で触れ合いたい。確かめ合うために。
ケイスケはしみじみそう思った。
仕事から帰ってきて食事も終え、後は風呂に入って寝るだけという、なんともまったりした時間が過ぎてゆく。明日は二人そろって休日である。
ふわりと、風呂場から良いお湯の匂いが漂ってきた。石鹸とも、入浴剤ともつかないその匂いは、確かにそこに人が住んでいるという証拠のようで、何だか心が温かくなる。ケイスケはその匂いに少しだけ心が癒されたような気がして微笑んだ。小さくため息をついて、早く風呂に入ってしまおうと着替えを取りに寝室へ向かう。
開けられたままのふすまから部屋に入ろうとした瞬間、足が止まった。
布団を敷いているアキラの後姿が目に飛び込んでくる。広げているのはケイスケの布団で、掛け布団もきっちり傍においてある。避けられていても、アキラのこういう優しさは変わらない(先に敷いてあるアキラの布団とは、かなり距離を離されて敷かれていることはこの際無視しておこう。)。
自然に胸がじんわりして、ケイスケが礼を言おうとした瞬間。鼻先を先ほどの匂いがくすぐった。
それは既に風呂から上がっていたアキラから漂ってきたものだった。常人ならざる嗅覚は、その匂いの中に混じるアキラ自身の甘い香りも嗅ぎ分けてしまう。ただでさえケイスケには毒のようなアキラの匂いが、風呂の匂いと混ざって非常にいやらしいものに感じられた。ドクドクと早鐘を打ち始めた心臓がうるさい。ケイスケは声も出せず、アキラに見蕩れたまま立ちすくんでいた。
うなじにかかる濡れたグレーの髪、何かを探しているのかきょろきょろ部屋を見回す度に筋の浮き出る白い首、風呂上がりで上気した頬、そしてケイスケを見つけて見開かれる、ブルーの瞳。
たまらない。
「っケイスケ!何やってんだ!!」
気づいたら、アキラが敷いてくれていたケイスケの布団に、彼を押し倒していた。勢いよく押し倒したせいで、アキラの匂いがよりいっそう濃く広がる。鼻から吸い込まれた甘いその香りは、直接頭に侵入して脳を溶かしていく。まるで悪い薬のようだ。ケイスケは自分のリミッターがブチブチと千切れていくのを感じた。
「アキラ!アキラアキラアキラァ!!」
「放せ!!まだ懲りてないのかお前はっ!!」
「やだよ!アキラにさわれないなんて!!俺死んじゃう!」
じたばたともがくアキラに圧し掛かり、腕を押さえつける。本当はこんな事はしたくない。したくないけれど体は狂いそうなほどアキラを求めている。制御できない行動に、ケイスケ自身が戸惑っていた。
「も、アキラ…俺おかしくなっちゃうよ…。」
頭がくらくらして、本当に変になってしまいそうだった。首筋に埋めていた顔を起こし、涙目でアキラを伺うと、何かをぐっと堪えているようだった。
「…その、捨てられた子犬のような目は止めろ…」
「?」
「…あーもう、いいからちょっと起きろって!」
「…うぅ」
しぶしぶアキラの上から起き上がる。けれど、どうしても離れがたくて、アキラが起き上がるとすぐさま正面から緩く抱きしめた。アキラは何か言いたそうに「おい…」と唸ったが、ケイスケが首筋に顔を埋めたままイヤイヤと首を振ったので、諦めたようだ。ため息がひとつ落ちる。
「……アキラ…ごめん。アキラが嫌でも、やっぱ俺は触りたいし、抱きたいって思うんだ。自分勝手で、ごめん…」
「……」
「自分じゃ止め方が分からない。どうしてもアキラが欲しくなるんだ」
「……………ケイスケ」
「ん?」
「別に、嫌って言ってるんじゃない」
アキラの言葉に、がば、と顔を起こそうとしたが、頭を押さえられてしまう。顔を、見られたくないのだろうか。肩口に頭を預けたまま、アキラの言葉を待つ。
「…限度がある。仕事に支障が出るってのは、ダメだ」
「……うん」
「せっかく雇ってくれた工場長にも、迷惑かけることになる。」
「……うん…」
「ちゃんと朝起きて、働いて、食べて、寝る。二人で生きてくために、きちんとやってかなきゃ駄目だって俺に教えたのは、お前だろ。……俺は、昔そのへん適当だったから、頑張ろうと思った。…お前と生きていくために」
「……アキラ…」
こんな風に考えてくれているとは思わなかった。内面的なことを普段殆ど口に出さない彼が、ここまで饒舌に、しかも自分たちのことについて話すなんて、非常に珍しい。だからこそ、とても頑張って話してくれていることが分かる。
確かに避けられるようになった途中から、体に負担を掛け過ぎた事にだけ怒っているというよりは、他の事に対しても怒っているようだった。日を経るごとに態度を冷たくしていったのは、先程言ったことをケイスケに気づいて欲しかったからなのかもしれない。ケイスケはケイスケで、アキラの冷たい態度にオロオロするばかりで何も見えていなかった。言葉にしなければ伝わらないし、表面的なことに捉われすぎても、何も分からない。相変わらず二人は、不器用だった。
「ごめん…。俺…」
「…分かればいい……。……それに…」
「ん?」
「………いい。やっぱりやめとく」
「ええ!?何?!」
「お前はもうさっさと風呂に入って来い……」
「やだって!気になるよ!!」
「………………さっき、別に嫌じゃないって、言った…」
「……」
「言っとくが!仕事に支障がなければ、の話だからな…」
「あああああきらさん!そ、それって」
「うるさい。もういい、早く風呂入れ!溺死しろ!!」
真っ赤になって顔を逸らそうとするアキラの両頬に手を当てて、額を合わせる。
「アキラ、本当にごめんな。ありがとう。やっぱり俺、アキラが大好きだ」
「……」
「ちゃんと、自制できるように、頑張るから…だから」
「……っ」
「今日だけは、許して?」
ケイスケがつぶっていた目を開くと、アキラもその気配を感じたのか、伏せていた目を上げた。まつ毛とまつ毛が触れ合って、くすぐったい。一瞬だけ目を合わせて、すぐに横へ流れた視線が悲しかったけれど、後に続いた言葉に、そんなことは何処かへ吹き飛んでしまった。
「……月曜にはちゃんと、仕事に行けるように、手加減しろよ…」
布団に沈み込む二人を咎める者は、どこにも居ない。
「け、すけ…っ!!手加減、し…ろって、言っ!!あ!」
「アキラ!ごめんっ…今日は、止まんない…!」
「ばか、やろ!…っんん」
アキラがちゃんと仕事に行けたのかどうかは、定かではない。
――完
もっとひどい話にしようと思ったんですが…ベタ甘に。。。デフォルトだからいいか、な… 前とテンションが全然違うんですが笑
ケイスケにお仕置き放置プレイを受けてもらいました。ケイスケの片思い中はアキラとずっと一緒に居たわけではないので、色々我慢できたと思うんですが、一緒に暮らすようになってからは我慢するのが凄く辛いんじゃないかと思います。アキラ、それは罪な男。
ver.K ということで、ver.Aも作ろうと思っております。アキラ視点じゃなくて違う話になる予定です。
シリアス話も平行して書いてるんですが、もしかしたらそっちが先になるかもしれません。
そして、ヒナタさんのやっておられる素敵サイト 真夜中ビスケット 様のリンクを貼らせて頂きました!!!もう、ね色物(*´д`*)ハァハァ ですよ… 大好きです!!咎狗バンザアァァァイ!!!
ではここで〜★
咎狗 | trackback(0) | comment(0) |
あおまです。バイトから帰ってきました〜
最近忙しかったのがようやっと落ち着いたんで、またぼちぼち更新できればと!
テストが始まるまで頑張って更新したいです(´∀`) ssの続きもできたら今日うpしたいなぁ。。。
ヒナタ様に捧げさせて頂いた絵の別バージョン↓
ケイス犬です。しっぽが2本生えてるみたいだ… ちょっとアキラが乙女顔過ぎたかもしれません。
ケイス犬はアキラァの匂いが大好きです。フガフガ嗅ぎまくってべろんべろん舐め倒します。そしていつもアキラの布団に潜り込んで怒られますが、捨てられた子犬のような目という最終兵器を持っているので、大抵は一緒に寝させてもらってます。ケイス犬の一番大好きなおもちゃはアキラァのパンツだそうです。
続きから、拍手御礼です!大変遅くなってしまって申し訳ないです; 拍手だけの方も、本当にありがとうございます!拍手がやる気の源だ〜
咎狗 | trackback(0) | comment(0) |



